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専用線とVPNの違いとは?企業ネットワークの選び方を解説

データセンター ネットワーク

企業のネットワーク構築において、専用線とVPNはいずれも重要な選択肢です。最適な判断を下すためには、それぞれの特性や適用場面を正しく理解している必要があります。

本記事では、専用線とVPNの違いを比較しながら、使い分けのポイントをわかりやすく解説します。自社の通信環境に適した選択をするための判断材料としてお役立てください。

目次

専用線とは

専用線とは、通信事業者が企業の拠点間を1対1で接続する専用のネットワーク回線です。インターネットを経由せず、契約した拠点間を直接結ぶため、高いセキュリティと安定した通信品質が特徴です。

専用線接続のメリット

専用線の最大のメリットは、セキュリティの高さです。不特定多数が利用するインターネットを経由せず、拠点間を直接結ぶ閉じたネットワークのため、外部からの不正アクセスや盗聴のリスクが大幅に低減されます。金融機関や医療機関など、機密性の高い情報を扱う業種では特に重視される要素です。

また、他の利用者の影響を受けず、契約した帯域を占有できるため、大容量データの送受信や、リアルタイム性が求められる業務システムでも安心して利用できます。

通信の遅延が少なくジッター(通信の遅延時間のばらつき、音声や映像が途切れる原因となる)も発生しにくい特性があるため、音声通話やビデオ会議、基幹システムの同期、データベースのレプリケーションなどにも適しています。高いセキュリティと安定した通信品質は専用線を理解する上で重要なポイントです。

専用線接続のデメリット

専用線のデメリットは、導入・運用コストの高さです。初期費用として回線工事費や設備導入費、終端装置の設置費用などが発生し、月額料金も距離や帯域幅に応じて高額になります。特に拠点間の距離が長い場合や、高速回線を必要とする場合は、コスト負担が大きくなる傾向があります。

導入までの期間も長く、申し込みから開通まで数週間から数か月必要です。物理的な回線工事が必要なため、事業拡大や組織変更、オフィス移転といった状況に柔軟に対応しにくい点に注意しましょう。スケーラビリティに制約があるため、将来的な拠点展開を視野に入れ、慎重に検討する必要があります。

専用線接続が向いている主なケース

○機密性と通信品質の両立
金融機関の基幹システム、証券取引システム、医療機関の電子カルテシステム

○大容量・低遅延通信
拠点間の大容量データ通信、映像配信、監視カメラの伝送、リアルタイム制御システム

VPNとは

VPNとは、Virtual Private Networkの略称で、閉域網やインターネットなどの既存ネットワーク上に仮想的な専用ネットワークを構築する技術です。暗号化技術によってデータを保護しながら、遠隔地との安全な通信を実現します。

VPN接続のメリット

VPNの大きなメリットは、低コストから導入できる点です。既存のインターネット回線や通信事業者の閉域網を活用できるため、専用線と比較して初期費用・月額費用ともに大幅に抑えられます。特にインターネットVPNは低コストで導入できるため、予算が限られている中小企業やスタートアップ企業でも利用しやすい選択肢です。

スケーラビリティにも優れており、拠点の追加や削除が比較的容易です。設定変更のみで対応できることが多く、短期間で導入できるため、事業拡大や組織変更、新規拠点の開設などにも柔軟に対応できます。リモートワークやテレワークの普及により、社外から社内ネットワークへ安全にアクセスする手段としても広く活用されています。

VPN接続のデメリット

インターネットVPNでは、インターネット回線の混雑状況や経路の変動により通信品質が不安定になる可能性があります。遅延や速度低下、パケットロスなどの発生により、業務システムの応答速度に影響が出る場合があります。

また、VPN機器の脆弱性を狙った攻撃も増えているため、運用において適切な対策が必要です。以下はセキュリティ対策の例になります。

対策分類

具体的な対策内容
基本対策 迅速なパッチ適用、VPN機器のファームウェア更新、
公開設定の最小化
診断・監視 定期的なセキュリティ診断、脆弱性スキャン、
アクセスログの監視と分析
認証強化 多要素認証の導入
 運用管理  セキュリティポリシーの策定と定期的な見直し

VPN接続が向いている主なケース

○コスト重視の接続
中小企業の拠点間接続、支店網の構築、リモートワーク環境の構築、外出先からのアクセス

○柔軟性・迅速性重視
拠点数が流動的な企業、短期間でのネットワーク構築が必要な場合

また、IP-VPNや広域イーサネットを選択すれば、インターネットVPNよりも高い通信品質とセキュリティを確保しながら、専用線よりもコストを抑えられます。

専用線とVPNの違い

専用線とVPNの主な違いを整理すると以下の通りです。

比較項目

専用線 VPN
セキュリティ 拠点間を直接接続するため
外部アクセスリスクが低い
暗号化により保護されるが、
適切な運用が必要
通信品質 帯域が保証されているため安定 VPNサービスの種類によって
変動しやすい
導入コスト  高額(工事費・設備費) 比較的低額
運用コスト 高額(距離・帯域に応じて変動) 専用線と比べて安価
導入期間 数週間~数か月 数日~数週間
拡張性 拠点追加に時間とコストがかかる 比較的容易に拠点追加が可能
適用場面 基幹システム、大容量通信など 拠点間接続、
リモートアクセスなど

VPNと専用線どちらを選ぶべきか迷った場合は、まず通信品質とセキュリティ要件を確認しましょう。金融・医療・製造業の基幹システムなど停止が許されない通信には専用線が適しています。一方、一般的な拠点間接続やテレワーク環境ではVPNでも十分なケースが多く、コストを抑えながら柔軟な運用が可能です。

専用線とVPNはそれぞれに長所・短所があるため、業務要件やシステムの重要度に応じて選択することが重要です。重要拠点や基幹システムは専用線、その他の支店や営業所はVPNといった、両者を組み合わせるハイブリッド構成も有効です。

回線提供モデルの違い

通信事業者から提供されるVPN回線サービスには、主にベストエフォート型と帯域確保型があります。それぞれの違いについて解説します。

ベストエフォート型

ベストエフォート型は、最大帯域までの通信を保証せず、回線の混雑状況に応じて速度が変動するのが特徴です。コストを抑えられる反面、通信品質が不安定になる可能性があります。開発環境やテスト環境、一般的なインターネット利用など、多少の速度変動があっても業務への影響が少ない用途に適しています。

帯域確保型

帯域確保型では、契約した帯域が常に利用できるよう保証されています。他社の利用状況に左右されず、安定した通信が可能です。基幹システムやデータベースサーバー、大容量データ通信など、高い安定性が求められる場合は、帯域確保型が推奨されます。

VPNサービスの種類

VPNサービスは、利用する回線や技術によっていくつかの種類があります。主な種類とその特徴を以下の表にまとめます。

VPNの種類

使用回線 特徴  主な用途
インターネットVPN インターネット回線 ・既存のインターネット回線を利用するため低コストで導入しやすい

・通信品質は回線状況に依存する
テレワーク
エントリーVPN 通信事業者の閉域網とブロードバンド回線 ・インターネット上を通らず閉域網を利用するため、インターネットVPNより安全で安定性が高い

・コストは中程度だが、アクセス回線部分は共有回線を利用するため混雑時は速度低下の可能性がある
中小規模企業の
拠点間接続
IP-VPN  通信事業者の
専用閉域網
・通信事業者が管理する契約社専用の閉域IP網を利用するため、通信品質やセキュリティが高い

・拠点数が増えても運用しやすい
大規模企業の
多拠点接続
広域
イーサネット
レイヤ2閉域網 ・拠点間を同一LANのように閉域接続が可能

・IP以外の通信プロトコルが利用でき柔軟なネットワーク設計がしやすい
本社と支社間、
データセンター間の
接続

データセンターにおける回線利用の注意点

データセンターと自社拠点を回線接続する際、データセンターによっては回線業者が限定される場合があります。キャリアフリー(契約ラックに対する引込回線の種類・プロバイダーなどに制限がない)か、自社で利用したい回線が使用できるかを事前に確認しましょう。

また、IPアドレスやネットワーク設計に制約が無いか、データセンター事業者と利用者、回線業者の責任範囲についても整理しておくことが重要です。

まとめ

専用線とVPNは、それぞれ異なる特性を持つ回線の接続方法です。

専用線は高いセキュリティと安定した通信品質が特徴ですが、コストと導入期間がかかります。VPN回線は専用線に比べ低コストかつ柔軟な拡張が可能ですが、種類によって通信品質やセキュリティ対策に注意が必要です。

自社の業務要件、予算、拠点構成を総合的に判断し、重要拠点は専用線、その他はVPNといったハイブリッド構成も含め慎重に検討することが重要です。

AGSのさいたまiDCでは、キャリアフリー(契約ラックに対する引込回線の種類・プロバイダーなどに制限がない)で利用が可能です。サーバーを別のデータセンターに移す場合、移転計画の立案、設計・構築、データ移行などにコストがかかり契約継続の可能性がありますが、移転先のデータセンターでDC事業者が指定した回線しか選択できないとコストが高騰する恐れがあります。データセンター選定時は、利用できる回線事業者の制限有無も押さえておきましょう。ぜひご検討ください。

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