コラム
サーバー冷却の基本知識|自社運用の課題と解決策を解説

サーバー運用は企業の業務に欠かせない重要な要素です。適切な冷却が行われないと、サーバーの性能低下や故障リスクが高まり、日々の業務に深刻な影響を与える可能性があります。
本記事では、自社運用におけるサーバールームの冷却の基本的な方法から、冷却不足によるリスク、効果的な対策まで、課題と解決策を詳しく解説します。サーバー冷却でお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。
目次
サーバーの冷却方法

サーバーの冷却には、様々な方法があります。企業の規模や設置環境、予算に応じて最適な冷却方法を選択することが重要です。ここでは、代表的なサーバーの冷却方法について、それぞれの特徴とメリット・デメリットを解説します。
空調による冷却
最も一般的な冷却方法は、サーバールーム全体を空調設備で冷却する方式です。エアコンなどを使用して室内の温度を一定に保つことで、サーバーの安定稼働を実現します。
この方式の最大のメリットは、漏水の恐れが極めて低いことです。水を使用しない空調システムのため、サーバーの水没リスクを低減することができます。また、既存の建物への導入が比較的容易で、初期費用も抑えられるのが特徴です。
一方で、サーバールーム全体を冷却するため、エネルギー効率の面では他の方式に劣る場合があり、電気代が高額になる傾向があります。
サーバーラック取り付け型の熱交換器
サーバーラック内に直接取り付ける熱交換器も冷却に効果的な手段の一つです。ラック内の熱を効率的に除去し、ピンポイントでの冷却を実現できます。
この方式では、サーバーラック内に設置した熱交換器が、サーバーから発生する熱を直接回収し、冷却水や冷媒を使用して熱を外部に排出します。局所的な冷却が可能なため、冷却効率が高く、エネルギー消費量を抑えられるのがメリットです。なお、詳細な仕組みについては、後述の「サーバー冷却の効果的な対策」で詳しく解説します。
液浸冷却
革新的な冷却技術として注目されているのが液浸冷却です。サーバー本体を直接冷却液に浸すことで、発熱部分を効率的に冷やせます。
液浸冷却では、特殊な絶縁性冷却液の中にサーバーを設置し、液体の高い熱伝導率を活用して熱を除去します。従来の空冷方式と比較して、冷却効率が格段に向上し、サーバーの高密度配置も可能になります。また、冷却液が電気を通さないため、サーバーへの悪影響もありません。
ただし、導入コストが高く、特殊な設備とメンテナンス体制が必要なため、大規模なデータセンターや高性能コンピューティング環境での採用が中心です。
サーバーの冷却不足によるリスク

サーバーの冷却が不十分な場合、企業にとって深刻な影響を与える可能性があります。これらのリスクを事前に理解し、適切な対策を講じることが重要です。
サーバーダウン
冷却不足による最も深刻なリスクは、サーバーダウンです。サーバーの内部が高温になることで稼働が停止し、実行中のプロセスやデータの損失を招く恐れがあります。特に、データベースサーバーやWebサーバーなど、業務の中核を担うシステムがダウンした場合、企業の事業活動が完全に停止しかねません。
また、顧客向けのサービスを提供している企業では、サーバーダウンにより顧客への迷惑や信頼失墜、売上機会の損失といった金銭的な被害も甚大になります。復旧作業にかかる時間や人的コスト、機会損失を考慮すると、適切な冷却対策への投資は企業にとって必要不可欠な経営判断といえるでしょう。
製品寿命への影響
サーバーの冷却不足による影響が顕著に現れるのが、機器の製品寿命です。半導体や電子部品は熱に弱く、高温環境での長時間稼働により劣化が加速します。
電子部品の温度が10度上昇すると、製品寿命は約半分になるとも言われており、CPUやメモリ、ハードディスクなどの主要部品が設計温度を超えて稼働し続けると、内部の電子回路が損傷し、予期せぬ故障の原因となります。特に、サーバーは24時間365日稼働することが多いため、わずかな温度上昇でも長期的には大きな影響を与える可能性があります。
適切な冷却が行われていないサーバーでは、部品交換の頻度が増加し、メンテナンスコストが大幅に上昇します。また、突然の機器故障は、企業の信頼性にも関わる深刻な問題となりかねません。
サーバーを冷却する際のポイント

効果的なサーバー冷却を実現するためには、いくつかの重要なポイントを押さえる必要があります。冒頭で紹介した空調や熱交換器による冷却方法を最大限に活用するために、以下の要素を適切に管理することが重要です。
サーバールームの温度・湿度管理
サーバールームの適切な温度管理は、冷却効果を最大化するための基本要素です。一般的に、サーバールーム及びサーバーの取り込み空気の温度(吸気温度)は18~27度程度の範囲で維持することが推奨されています。
また、温度だけでなく、湿度管理も同様に重要です。サーバールーム内の湿度が高すぎる場合、結露によりサーバー内部に水滴が発生しショートや腐食の原因となり、逆に湿度が低すぎる場合、静電気の発生リスクが高まり電子部品への悪影響が懸念されます。
温度計やセンサーを設置し適切な温湿度環境を維持することで、サーバーの安定稼働を実現できます。
サーバールーム内の冷気の循環
温度管理と同様に重要なのが、サーバールームの効率的な冷気の循環です。
サーバーラック内では、前面から冷気を取り入れ、背面から暖気を排出するエアフローが基本です。
しかし、ラック配置や機器構成によっては暖気が滞留し、十分な冷却効果が得られない場合があります。このような状況を改善するために、扇風機やサーキュレーターを適切に配置し、空気循環を作り出すことが効果的です。
定期的な清掃とメンテナンス
見落とされがちですが、空調設備やラック内の機器を定期的に清掃することは冷却効率の低下を防ぐために重要です。
サーバー内部にほこりが蓄積すると、ファンやヒートシンクの性能が低下します。特に、CPUクーラーのフィンにほこりが詰まると、熱の放散効率が悪化し、処理性能の低下や故障リスクの増大につながります。
サーバー本体、ラック、空調設備の定期的な清掃を行うことで、最適な冷却環境を維持できます。
サーバー冷却の効果的な対策
基本的な冷却ポイントを押さえた上で、より効果的なサーバー冷却を実現するためには、専用の冷却機器の導入や外部サービスの活用も検討する必要があります。以下では、具体的な対策方法について解説します。
ラックマウント型クーラー
ラックマウント型クーラーは、サーバーラック内に収納できるクーラーで、局所的な冷却を実現します。
この冷却方法では、サーバーラック内の熱を直接除去することができます。
サーバールーム全体を冷却する従来の空調方式と比較して、エネルギー効率が高く、電力コストの削減効果も期待できます。また、ラック単位での温度管理が可能なため、高発熱サーバーを集中配置している環境でも安定した冷却性能を発揮します。設置スペースも最小限で済むため、限られたサーバールーム環境での活用が可能です。
ラック用クーラー
ラック用クーラーは、製造業などで用いられることが多い、より大型の冷却システムです。工場や研究施設などの過酷な環境でも安定した冷却性能を提供できます。
産業用途に特化した設計により、高温環境や粉塵の多い環境でも長期間安定して稼働できる堅牢性を持っています。製造ラインに組み込まれた制御用サーバーや、24時間連続稼働が求められる監視システムなど、ミッションクリティカルな用途での採用に適しています。冷却能力も高く、大型のサーバーラックや複数ラックの同時冷却にも対応できます。
ただし、設置には専門的な工事が必要で、初期投資も高額になる傾向があります。
水冷ヒートエクスチェンジャー
熱交換器の一例として、水冷ヒートエクスチェンジャーがあります。水冷ヒートエクスチェンジャーは水の高い熱伝導率を活用した高効率な冷却システムです。冷却水を循環させることで、従来の空冷方式では困難な高密度冷却を実現できます。
この冷却システムでは、サーバーラック内に設置されたヒートエクスチェンジャーが、サーバーから発生する熱を冷却水に伝達し、外部の冷却装置で熱の除去を行います。冷却効率が非常に高く、高性能サーバーの集中配置や高密度実装環境での活用に優れた効果を発揮します。また、冷却ファンの騒音が大幅に削減されるため、オフィス環境での快適性も向上します。
一方で、配管工事や漏水対策などの設置コストが高く、定期的なメンテナンスも必要となるため、導入前の十分な検討が重要です。
データセンターのハウジングサービス
自社でのサーバー冷却運用に課題がある場合、データセンターのハウジングサービスを活用することも効果的な対策の一つです。
データセンターでは、冗長化された専用の冷却設備や運用ノウハウにより、24時間365日安定した温湿度環境が維持されており、最適な環境を利用できます。自社でのサーバー冷却に必要な設備投資や運用コストと比較し、長期的にはコスト削減効果も期待できます。
また、専門スタッフによる監視体制により非常時の迅速な対応が可能なほか、災害対策や物理的セキュリティの観点でも、高い可用性と安全性を実現できるメリットがあります。
まとめ

サーバーの冷却は、企業のIT運用において重要な課題です。適切な冷却が行われないと、サーバーダウンや寿命短縮など、企業にとって深刻なリスクが発生します。効果的な冷却を実現するためには、適切な温湿度管理、冷気の循環、定期的なメンテナンスといった基本的なポイントを押さえることが重要です。
さらに、ラックマウント型クーラーや水冷ヒートエクスチェンジャーなどの専用機器を導入することで、より高効率な冷却環境を構築できます。しかし、これらのサーバー冷却対策にはコストもかかり、専門的な知識と継続的な運用管理が必要となります。
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