コラム
サーバー冗長化とは?障害時や災害時の事業継続を実現

地震や台風などの自然災害、システム障害、サイバー攻撃など、企業の事業継続を脅かすリスクは多様化しています。特にサーバーの停止は、基幹システムの停止や重要データの損失につながり、企業活動に甚大な影響を及ぼします。
BCP(事業継続計画)において、サーバーの冗長化は事業継続性を確保するための重要な施策です。本記事では、サーバーの重要性と、高可用性を実現するHA構成、サーバー冗長化の具体的な方法について解説します。
目次
BCPにおけるサーバーの重要性

BCPにおいて、サーバーの可用性確保は最優先課題の一つです。サーバー停止が事業に与える影響、重要データの保護、そしてシステム復旧の対策について解説します。
BCPの考え方や策定手順については、以下の記事でも詳しく解説していますので参考にしてください。
関連記事:BCP(事業継続計画)とは?|必要とされる背景や策定手順も解説
サーバー停止の影響
販売管理システムや生産管理システム、受発注システムなど、企業活動の中核となる基幹システムはサーバー上で稼働しています。これらのサーバーに不具合が起きれば、基幹業務の停止につながりかねません。
サーバー停止による影響は多岐にわたります。販売機会の損失、顧客への納品遅延、業務停止など、直接的な経済損失だけでなく、企業の信頼性低下にもつながります。特に、ECサイトや予約システムなど、顧客と直接関わるシステムが停止すれば、顧客離れを招く可能性もあります。
また、復旧に長時間を要する場合、取引先や顧客への影響も甚大です。サプライチェーン全体に影響を及ぼし、社会的な責任を問われるケースもあります。サーバー停止のリスクを最小化することは、企業の事業継続において不可欠な要素です。
重要データの保護
企業活動において、重要データの破損・紛失は避けなければなりません。顧客情報、財務データ、取引履歴、製品設計データなど、企業が保有するデータは事業の根幹を支える重要な資産です。
サーバー障害やハードウェア故障により、これらのデータが損失すれば、業務の継続は困難です。特に、バックアップを取得していない場合、データの復旧は不可能となり、企業活動に致命的な打撃を与えます。
また、個人情報保護法や業界固有の規制により、企業には適切なデータ管理が求められています。データ損失は、法的責任や社会的信用の失墜にもつながるため、確実なデータ保護対策が必要です。サーバーの冗長化やバックアップ体制の構築により、重要データを確実に保護することが、BCPの基本です。
システム復旧の対策
データのバックアップにより、災害発生時のシステム復旧をスムーズに行えます。バックアップは、定期的に取得し、複数の場所に保管することで、データ損失のリスクを軽減します。
システム復旧の対策では、RTO(目標復旧時間)とRPO(目標復旧時点)を明確に定めることが重要です。RTOは、システムをどれだけの時間内に復旧させるかの目標であり、RPOは、どの時点までのデータを復旧させるかの目標です。これらの目標を設定することで、必要なバックアップ頻度や復旧手順が明確になります。
また、復旧手順を文書化し、定期的に復旧訓練を実施することで、実際の災害時にも迅速に対応できる体制を整えられます。バックアップデータの検証も定期的に行い、確実に復旧できることを確認しておかなければなりません。
ビジネス継続に欠かせない冗長化構成

HA(高可用性:High Availability)構成は、システムの停止時間を最小限に抑え、事業継続性を確保するための重要な技術です。HA構成の概要と種類について解説します。
HA構成とは
システムに冗長性を持たせることで、障害に備えて機材や回線などを複数系統用意し、並列に使用できたりシステム停止時に一部をすぐに使える状態で待機させることができたりします。冗長化によって、信頼性や安定性を高めることが可能になります。HA構成とは、システムの停止時間を最小限に抑え、事業継続性を確保するための重要な構成です。
HA構成の主要な要素を以下の表にまとめます。
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冗長化の種類 |
概要 |
| サーバー冗長化 | 複数のサーバーを用意し、一台が故障しても他のサーバーで処理を継続することで、システムの停止を防ぐ |
| ネットワーク冗長化 | 複数の回線やネットワーク機器、NIC(ネットワークインターフェースカード)を使用し、通信経路や社内ネットワークの障害に備える |
| ストレージ冗長化 | RAID構成やストレージ・コントローラー冗長構成などを利用し、ディスク障害、データ損失、ダウンタイムからデータを保護する |
これらの冗長化を組み合わせることで、システム全体の可用性を高め、障害発生時でもサービスを継続できる環境を構築可能です。HA構成は、止めることが許されないサービスで多く採用されています。
サーバー冗長化によるメリット・デメリット
サーバー冗長化には、サービスの停止時間短縮やBCP対策などの可用性の向上となるメリットがある一方で、障害発生時や災害発生時に切り替え運用するのに必要なコストや管理負担の増加がデメリットとして挙げられます。
メリットとしては、サーバー障害時の自動切り替えにより、サービスの停止時間を最小限に抑えられる点です。また、保守作業中もサービスを継続できる柔軟性を確保できるため、計画メンテナンス時にもサービスを継続できます。災害発生時にも、冗長化されたサーバーが稼働を継続することで、事業継続性の確保が可能です。
デメリットとしては、複数のサーバーを用意する必要があるため、初期投資コストが増加する点です。また、複数のサーバーを管理する運用負荷も増大します。データの同期やフェイルオーバーの仕組みを適切に設計・運用する必要があるため、運用面の難易度も高まります。
そのため、システム停止リスクとシステムを保護するコストのバランスを考慮し、重要なシステムを対象に選び適切なレベルで冗長化することが重要です。
二重化やバックアップとの違い
サーバー冗長化と、二重化やバックアップは、目的や概念が異なります。これらの違いを理解することで、適切なBCPを講じられます。
サーバー冗長化は、システムの可用性を高めることを目的とし、障害発生時に自動的に切り替わる仕組みです。リアルタイムでのサービス継続を重視し、停止時間をほぼゼロに近づけます。
二重化は冗長化の一種であり、稼働系と待機系の2つのシステムを用意することを指します。冗長化がより広い概念であるのに対し、二重化は具体的な構成方法の一つです。
バックアップは、データの複製を定期的に取得し、障害発生時にデータを復元することが目的です。バックアップは、過去の一時点へのデータ復旧を行うものであり、リアルタイムのサービス継続を目的とする冗長化とは異なります。冗長化とバックアップを組み合わせることで、より強固なBCP対策を実現できます。
HA構成の種類
HA構成には、アクティブ-アクティブ構成やアクティブ-スタンバイ構成など、複数の種類があります。それぞれの特徴を理解し、システム要件に応じて選択することが重要です。
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構成タイプ |
説明 | メリット | デメリット |
| アクティブ-アクティブ構成(ホットタンバイ) | 複数の稼働系サーバーが同時に稼働し、リソースが無駄なく使用可能で負荷分散が可能 | リソースの有効活用、高い処理能力、ダウンタイムを最小限に抑える | 構成が複雑、データ同期の管理が必要 |
| アクティブ-スタンバイ構成(ウォームスタンバイ) | 稼働系サーバーが稼働し、障害発生時に待機系サーバーに切り替え可能 | 切り替え時間が短い、データ整合性を保ちやすい | 通常時は待機系サーバーのリソースが活用されない |
| アクティブ-スタンバイ構成(コールドスタンバイ) | 稼働系サーバーが稼働し、待機系サーバーは停止状態で障害時に起動 | コストを抑えられる | 切り替えに時間がかかる、復旧が遅い |
ホットスタンバイはアクティブ-アクティブ構成で複数サーバーが常時稼働するため、リソースを無駄なく活用可能です。ただし、データの同期や負荷分散の制御が複雑になります。金融機関のシステムや24時間365日稼働が求められるシステムで採用されます。
ウォームスタンバイはアクティブ-スタンバイ構成で、通常は稼働系サーバーで処理をさせて、待機系サーバーが常時起動してスタンバイしているため、障害発生時に稼働系サーバーから待機系サーバーに切り替え、サービス提供を継続することが可能です。
コールドスタンバイは、待機系サーバーが停止しているため、運用コストを抑えられますが、障害発生時の切り替えに時間が必要です。復旧時間に余裕があるシステムに適しています。
BCPにおけるサーバーに必要な要素
BCPにおいて、サーバーの冗長化だけでなく、以下の3つの要素も重要です。
● バックアップと復旧手順
● 災害に備えたDR計画
● 障害発生時の連絡・対応体制
バックアップと復旧手順では、定期的なバックアップの実施と、復旧手順の文書化が不可欠です。バックアップは、フルバックアップ、差分バックアップ、増分バックアップを組み合わせ、効率的に実施します。復旧手順は、ステップごとに詳細に記載し、担当者が誰でも実施できるようにしておくことが重要です。また、復旧訓練を定期的に実施し、手順の有効性を確認します。
災害に備えたDR(ディザスタリカバリ)計画では、遠隔地にバックアップサイトを設置し、災害発生時にも事業を継続できる体制を構築します。DR対策では、データのレプリケーションや、遠隔地でのシステム復旧手順を明確化することが必要です。
障害発生時の連絡・対応体制では、障害を検知した際の連絡フローや、対応責任者を明確にしておきます。24時間365日の監視体制を構築し、障害発生時には迅速に対応できる体制が求められます。また、エスカレーションルールを定め、重大な障害時には経営層への報告を速やかに行う仕組みの整備が必要です。
これらの要素を総合的に整備することで、BCPの実効性を高められます。DR対策とBCPの違いについては、以下の記事でも詳しく解説していますので参考にしてください。
関連記事:DR対策とは?BCPとの違いや具体的な実現方法を解説
まとめ

本記事では、BCPにおけるサーバーの重要性と、HA構成によるビジネス継続、そして必要な要素について解説しました
サーバーの停止は業務システムの停止や重要データの損失につながるため、BCPにおいて冗長化は不可欠です。HA構成では、サーバー冗長化に加えてネットワーク冗長化やストレージ冗長化を組み合わせることで、高い可用性を実現できます。また、バックアップと復旧手順、DR計画、障害発生時の対応体制も重要な要素です。
サーバー、ネットワーク、ストレージの冗長化に加えて、設置場所も慎重に検討する必要があります。データセンターは、高度な耐震性能や電源の冗長化、24時間365日の監視体制など、BCPに必要な環境を提供しています。AGSの都市型データセンター「さいたまiDC」では、免震構造の建物や電源設備の冗長化のみならず、ラック内冗長電源の標準提供も大きな特徴になっており、障害発生時・災害時にも事業継続性を確保できる環境を提供可能です。
BCPにおけるサーバー環境の構築をご検討の際は、ぜひご相談ください。